
制作時期 | 安永4年(1775) |
---|---|
写作(所蔵)年 | 文政11年(1828) |
原作者 | 円山応挙 |
写作者(所蔵者) | 天放堂 |
法量 | 縦108.3cm×横60.5cm |
解説 | 本品は、その原画らしき作品が、「応挙寺」として著名な大乗寺(兵庫県香美町)に伝来し、「波上白骨座禅図」の名で知られています。同図の、波の上で白骨が座禅を組んでいるというユニークな図様が何を意味するのかについては、従来さまざまに憶測がなされてきました。この点に関わって、本品の所蔵者(写作者)による裏面の墨書は、原画の画題が「骨鏁観又不浄観」であるとしています。骨鏁観あるいは不浄観とは、仏教で、肉体を始めとするこの世界が汚れたものであることを観想して、心身を悩ます貪欲や瞋恚(怒り)・愚痴(おろかしさ)といった煩悩を打ち消す修行法をいいます。この墨書を信じれば、「波上白骨座禅図」は、骨鏁観・不浄観の修行のようすを象徴的に描いたものということになります。以上から、本品は、「波上白骨座禅図」の図様の意味、ひいては、その根底にある応挙と仏教思想の関係について、貴重な情報を提供する作品といえるでしょう。 |